【ロードバイク組立記】CAMPAGNOLO RECORD 11S CHAIN組み付け

DE ROSA TITANIO Soloをフレームから組み立てる【ロードバイク組立記】シリーズ。

前回はULTRA-SHIFT用ギア/ブレーキケーブルセットの組み付けまで完了しました。

【ロードバイク組立記】CAMPAGNOLO ULTRA-SHIFT GEAR/BRAKE CABLE SET組み付け

2017年1月28日

今回はCampagnoloの11速用チェーンを組み付けて行きます。

準備するもの

チェーンツール

チェーンフィキサー

CAMPAGNOLO RECORD 11S CHAIN

TITANIO SoloのコンポーネントはCampagnolo SUPER RECORDを組み付けます。コンポーネント一式、つまりGroupset(グループセット)は海外オンラインショップのMerlin Cycleから購入しました。

今回組み付けるCampagnoloの11速用チェーンもグループセットに同梱されているものです。ちなみにSUPER RECORDグレードのチェーンはラインナップされておらず、チェーンの最上位グレードは今回のRECORDになります。

チェーンの組み付けは付属の取扱説明書またはオフィシャルサイトを参照しながら行っていきます。

詳細はこちらにとてもわかりやすく丁寧に記載されているのでお任せするとして、例によって本エントリーでは余談を書いていきたいと思います。

CAMPAGNOLOの11速用チェーン取り扱いについて

チェーンは写真のようにパッケージされていて、チェーンを繋ぐ時に使うリンクピンや注意書きの紙もこの中に一緒に入っています。写真ではチェーンの下に隠れていますが、もちろん説明書と保証書も付属しています。

このパッケージの裏面には『安全のために11速用チェーンの組み付けは専用工具を使う必要があります』と注意喚起されています。

自転車のパーツの中でもチェーンはライダーの命に大きく関わる重要なパーツの一つなので、説明書だけでなく、ユーザーの目に触れるようにアピールしています。

この裏面に書かれた専用工具のうち左のチェーンツールは別売りですが、右のリンクピン(Ultra Link coupling pin)はチェーンに付属しています。

ビニールを開いた中身がこちら。写真左はリンクピンが入ったパッケージです。

チェーンの片方の端のリングにはタイラップが通してあり、ここにも取り扱い上の重要な説明が書かれています。

説明を拡大したのがこちら。

注意!

チェーンを短くする時は(タイラップが通してあるのとは)反対側のリンクピンを抜くこと。どんなことがあっても絶対に(タイラップが通してある)こちら側のリンクピンを抜いたり差し替えたりしないこと。チェーンに関してどのような作業を行うにも、事前にマニュアルを注意深く読み、理解し、従うこと。

マニュアルを熟読するのはもちろんですが、タイラップ側のチェーンは絶対に短くしないというのが大きなポイントです。もしこの指示を理解せず、もしくはタイラップを切る手間を惜しんで、タイラップ側からチェーンを短くするような人がいたらメカニックとして一発退場です。

チェーンは自転車の変速段数が増えるごとに細くなっており、11速となった今ではデリケートな部類のパーツ。そしてタイラップが巻かれたチェーンの外側プレートは薄く、この穴に掛かる負荷は最小限に減らす必要があります。そこで「新品の外側プレートを最後まで残しておくために」この指示があるわけですね。

指示通りに作業すればチェーンの外側プレートに負荷が掛かるのはチェーン接続のためにリンクピンを挿入する時の1回だけです。もしタイラップ側から短くした場合だとリンクピンを抜く時と挿入する時で2回負荷が掛かってしまいます。

リンクピンの入ったパッケージを開封するとピンが1本だけ入っています。このリンクピンは1本で約1,000円する高級品。作業の失敗は許されません(^o^;)

このリンクピンのパッケージ裏面にもやはり専用のチェーンツールUT-CN300を使用するように記載があります。

Campagnolo純正の11速用チェーンツール UT-CN300

今回のTITANIO Soloの組み立てにあたり、カンパ純正の11速用チェーンツールUT-CN300を購入しました。

この純正チェーンツール、価格が2〜3万円と非常に高価です。そのため購入をためらうカンパユーザーも多いと思われ、わたしもその1人でした(;・∀・)

もちろんこの価格には正当な理由があります。

  1. 非常に精度が高い
  2. “カシメ”と呼ばれるカンパチェーン独自の作業工程に対応した機構を持つ
  3. “カシメ”を行うのに十分な耐久性を持つ

上記のうち特に2と3を兼ね備えたチェーンツールとなるとカンパ純正以外になく、安価なサードパーティ製品では代用が難しいという代物です。

そこで今回、TITANIO Soloの組み立てをきっかけに思い切って購入しました。ミニベロのE.B.S FLOAT 451 Roadもカンパ組みなので、カンパ組みのバイクはこれで2台目。今後のチェーンメンテナンスの効率等を考えると買った方がメリットが大きいと考え、やっと決心できました。

購入は価格に魅力のあるオンラインバイクショップWiggleから。国内だと2万円代後半ですがWiggleだと約2万円で購入できました。2017年2月現在だと約17,000円と大変お買い得(?)になってますね。

果たして純正工具を導入した効果は大きく、使っていて手に感じられる精度と耐久性、そして“カシメ”機構は申し分なし。楽に安定して作業を進めることが出来ました。チェーンツールについては作業の中でもう少し詳しく紹介していきます。

作業開始前のチェーン洗浄

保管中のサビや摩擦防止のためか、チェーンには予めグリスに近い粘度のコーティングが施されています。このまま使っても問題はないですが、チェーンが重く感じるとか、自分好みの決まったオイルを使いたい場合は一旦洗浄して別のオイルを注油します。

ロードバイク組み立て時のチェーン洗浄はショップによってはやらないところもある模様です。ただ個人でチェーン交換されるような場合はほとんどやられることでしょう。作業の詳細は省略しますが、私はジップロックに洗浄液を入れてシャカシャカします。洗浄液はお好みで。

ただしチェーンに予め施されたこのグリスのようなコーティングは、チェーンの隙間に塊のようにこびりついており洗浄液だけでは除去できません。どんな洗浄液を使うかよりも爪楊枝などで塊を丁寧に取り除くことの方が大事です。

チェーンの長さ確認

チェーンの長さ調整はマニュアルの指示通りに決めていきます。下は冒頭でリンク紹介したマニュアルからの抜粋です。

まず最初に注意書きとして以下のように記載されています。

注意!

チェーンの間違った組み付けは予期しない故障、ライド中の事故、怪我、命に関わります。このマニュアルに記載された作業を適切に行うための技量に関して少しでも疑問がある場合は、資格を持ったショップにバイクを持って行ってください。

マニュアルを熟読してもよく分からない箇所が残る場合はショップへ持っていきましょう。

さてチェーンの長さですが、

  • チェーンリングはインナーギア、スプロケットはトップギア(歯数が一番少ないギア)の状態でFig.1の距離Hが10〜15mmになるようにします。
  • 距離Hは3mm以下にしてはいけません。チェーンとリアディレイラーのチェーンガイドがぶつかって故障につながります。(Fig.2)
  • 距離Hは22mm以上にしてはいけません。チェーンリングがアウターギア、スプロケットはローギア(歯数が一番多いギア)の時にチェーンテンションが過剰になってしまうためです。(Fig.3)

この段階ではチェーンのカットはせず、どの辺までチェーンを詰めれば良いかおおよその検討をつけます。

チェーンの長さ確認やこの次の長さ調整(チェーンのカット)の作業ではチェーンフィキサーが非常に役に立ちます。

もちろんこの工具がなくても作業はできますが、あるのとないのでは作業効率が大きく違います。個人的には“必須”と思っているくらい重宝しています。

チェーンの長さ調整 – チェーンのカット

チェーンの長さを上の工程で確認した長さへ詰めていきます。この時いきなり狙った箇所を切断するのではなく、まずは狙った箇所の1つもしくは2つ手前を切断します。理由は以下の2点です。

  1. 作業に慣れるための試し切り
    ピンを抜く時、ピンの中心をまっすぐに撃ち抜かないと軽い力で切断できず、過剰な力が必要となったりします。その結果チェーンの穴を広げてしまったり、歪ませてしまったり、チェーンにダメージを与えてしまう可能性があります。それを避けるため、一発勝負で失敗しないように一旦手前を切断します。
  2. カットし過ぎの防止
    予めチェーンの長さを確認したとしても、実際に長さを詰めてチェーンを繋いでみると思ったよりも短いことがあるかもしれません。そして一度短くしたチェーンを長くして使うのは強度的に絶対NG!なので、狙った箇所の1つ2つ手前でカットし、リンクピンの代わりに爪楊枝などを仮挿入して“距離H”を確認します。

またチェーンカット時のポイントとしては写真のように、チェーンをバイクに通した状態で内側(バイク側)から外側(バイクと反対側)に向かってピンを抜きます

これもマニュアルで指示されている内容なので、ショップでチェーン交換してもらう場合はメカニックの知識をチェックする一つのポイントかもしれません。

理由はおそらく、チェーンの内側(バイク側)はリアの変速性能に影響するからです。リアのギアを歯数の多い方向へシフトチェンジする時、チェーンの内側がギアにぶつかり、チェーンが持ち上がって、チェーンラインが移動します。そこでチェーンの内側に余計な凹凸が発生しないように、内側から外側に向かってピンを抜くように指示しているものと考えられます。

チェーン接続 – リンクピンの挿入

ようやくチェーンの接続作業です。チェーンツールにチェーンを固定してハンドルを回し、ピンの中心を真っ直ぐに押してリンクピンを挿入します。切断時と同様、リンクピンの挿入もチェーンの内側(バイク側)からが鉄則です。

カンパ純正のチェーンツールは写真左下のリング状の持ち手がついた2本のピンを差し込んでチェーンを固定します。2本のピンがチェーンの凹みにハマるようになっており、チェーンが上下にズレたりしないようになっています。サードパーティ製のチェーンツールにはない機構です。

また2本のピンの突き当たりにある2つの突起がチェーンの隙間にハマるようになっており、チェーンが左右にズレないようになっています。サードパーティ製のチェーンツールにもこうした突起はありますが、作りがルーズでズレやすく、専用に作られた純正ツールの精度には遠く及びません。

ところでCampagnoloのリンクピンの挿入は精度を要求されることで有名(?)で、サードパーティのツールだとリンクピンの挿入中に先端部が折れてしまったという失敗をネットで多く見かけます。

チェーン接続 – リンクピンのカット

リンクピンの先端部が折れることなく挿入が完了すると、このような状態になります。

UT-CN300にはこのピン先端部を折るための穴も用意されており、それを使ってピン先をカットします。ただ、このピン先のカットはペンチで掴んでもいいし、指でへし折っても大丈夫な気がします。

カットすると緑色の(おそらく)接着剤の残りと共に、荒れたリンクピンの突出部が残ります。これをUT-CN300で“カシメ”ていきます。

チェーン接続 – リンクピンのカシメ

カシメという一般用語の詳細については興味があれば検索で調べて頂くとして、今回の作業としてやることは荒れたリンクピンの突出部を押しつぶして平らに押し広げることです。この工程は突出部を平らに押し広げることで見た目を整えるだけでなく、同時にリンクピンが抜けないようにチェーン強度を高めてくれます。

カシメの作業ではチェーンツールの向きを変えてチェーンの外側から内側に向かってリンクピンを押すようにセッティングします。チェーンの上下左右の固定は先ほどと一緒ですが、先ほどと違うのはリンクピンを押すのと反対側にピンが抜けないようにするための支えがついている点です。

何が変わったかわかりにくい場合はリンクピンの挿入の写真と比較していただければと思います。

さて、このセッティングでUT-CN300のハンドルを回してリンクピンの突出部を押しつぶしていきます。ピンを抜くのではなく“押しつぶす”ため、この作業にはチェーンカットやリンクピン挿入に比べてツールに大きな負荷が掛かります。

その点、専用ツールであるUT-CN300は厚みのある金属でできており、ずしりと重いですが安心して力を掛けてカシメることができます。今回ついにUT-CN300を購入して、本当にチェーン組み付けの作業が楽になったと感じました。元々この作業を想定していないサードパーティのチェーンツールには難しい工程です。

“カシメ”を行って、これにて今回の作業は完了です。

カンパ純正チェーンツール UT-CN300 のススメ

最後に、今回使用したカンパ純正ツールのススメです。

価格を考えると気軽にオススメできるものではないですが、私のようにカンパ組みのバイクがメインでメンテナンスも自分でやるのであれば、買って得られるものの方が多いのではないかと思います。

購入を悩みながらもサードパーティのツールでごまかし作業していた時間はなんだったのか…というくらい実際に使ってみた時の作業の安心感・安定感は感動ものでした。「これなら最初からUT-CN300を買っていれば」という感じです。

リンクピン(約1,000円)挿入の失敗リスク、“ショップ交換時のチェーン価格+工賃” vs “Wiggleのチェーン価格”の差分、適切なタイミングで気軽にチェーン交換できることによるドライブトレイン長寿命化など、カンパと長く付き合うほど価格以上のリターンが得られる重要なツールだと思います(^^)

さて、残す組み立て作業はシフト調整とブレーキ調整くらいでしょうか。

つづく。

【ロードバイク組立記】CAMPAGNOLOのリアディレイラー(RD)調整

2017年3月5日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

サトウ ケン (sato ken)

1980年生まれ。横浜市在住。

ミニベロ一筋10年目を迎える2016年秋にロードバイクデビューしました。
趣味のカメラを携えて、自転車の話題を中心に好きなこと楽しみながらお届けしていきたいです。

愛車は以下の2台体制。

ロードバイク: DE ROSA TITANIO Solo
ミニベロ  : E.B.S FLOAT 451 Road